COFFEE TAJIMA

インタビュー vol.1時代とマスターと珈琲

ノバ店主(以下 マスター):このお店を始める前は証券会社で勤めてたけど、やっぱりお客さんに損させることもあるでしょ。証券会社は取引の手数料で儲かるけど、お客さんは儲かるときもあれば損する時も多い。地元のお客さんに儲けさせてあげたいのに損させてしまうし、ちょっと色々思う所があってね…。そんなときに、知り合いに「喫茶店をやらないか?」と勧められて。やっぱりお客さんに損させるのは辛いなって思ってね。商売を変えようと決めました。

証券マン時代にいろいろ喫茶店を廻って飲んでいたし、もともと僕は珈琲が好きだったしね。証券会社の頃の後悔と反省があるから、人の繋がりを大事にしているんです。ちょっとでも手が空くとお客さんに声を掛けたりするから、毎年城崎に来たらうちに寄る、ってお客さんが多いんです。『おじいちゃん(マスター)元気ですか?』って(笑)。







マスター:お店を始めた頃はね、焙煎が濃くて香ばしい、焦げを楽しめるコーヒーだった。フレッシュ入れて、お砂糖入れて、飲み馴れている人は「美味しいわ~」って。でもある時を境に、当時仕入れていたコーヒー豆の味が変わってきたんです。時代の流れとともに酸味のある軽い味わいになってきて。。。なんか気に入らなくなっちゃたんですよね。それがきっかけで“ 新しいコーヒー豆を仕入れよう” と決めたんです。知り合いに「どこか良い珈琲豆を販売しているところ知らない?」と尋ねたところ、但馬珈琲さんを紹介してもらったんです。

但馬珈琲 小谷(以下 小谷):ある日、ノバさんから「豆のサンプルを持って来てほしい」と連絡がありました。煎りたての豆を届けて、返事を待ちました。でも、いくら待っても返事が返ってこない。半ば諦めていたんだけど、半年くらい過ぎたら『また持って来てほしい』っていう連絡があって…それを2、3度繰り返したんかな。そりゃあ、買う側も真剣勝負だしね、僕も何とかノバさんが気に入るブレンドを作りたいと思って、豆を煎ってました。そしてある時から、注文を頂くようになりました。当時のマスターのお話では、ご近所の常連の方に、味について色々聞いておられたと仰ってました。

マスター: そうそう、持って来てもらったサンプルを試してたんです。家で飲んでみたり、常連さんに飲んでもらったりしてましたね。『今まで淹れてたコーヒーと味を変えたんですけど、どうですか?』って訊いてました。但馬珈琲さんにお願いしようと思った決め手は、「新鮮な豆」と「絶妙な味のバランス」。当時小谷さんが『いつも自分で焙煎しているし、新しい新鮮な豆を持ってきます。』と言っていて、それが魅力的だったんです。

小谷:煎りたての新鮮な豆だと、コーヒーを点てた時の膨らみ方が絶対的に違うんです。煎ってから時間が立った豆よりね。但馬珈琲が努力しているところと言えば、お客様に煎りたてをお届けすること、そしてその人その人に合ったカタチを探り出すことですかね。マスターとの関係は、ただの良い客と業者ではなくて、ちょっと格好良く言うと、お互いの生き様みたいなものを話す、そんな関係かな(笑)。









マスター:よくお客さんに「『ここで一番美味しいコーヒーはどれですか?』って聞かれるんですけど、いつも『オススメはないです。』って言います。だって、味の好みは100人100様だから。『美味しい~』って言ってくれた方には『ほんなら、お口に合ってよかったですわぁ』って言ってます。味だけじゃなくて、音楽も聴けたり、ゆっくりできたり、全部含めて満足して帰ってくれたら、それが幸せだなあ〜って思います。


コーヒーショップ ノバ
住所:兵庫県豊岡市城崎町湯島121
電話:0796-32-2540
営業時間:9時~17時
定休日:不定休